全力ダッシュは「ホスファゲン機構」。

写真:GATAG

運動会ですかね?

おそらく全力でダッシュしています。

ということで今回は全力でダッシュしている時などのエネルギー供給。

「ホスファゲン機構」について。

全力で走っている時のエネルギーの供給はどうなっているのかを簡単に書いていこうと思います。

ホスファゲン機構とは

運動をする時はエネルギー源であるATPからエネルギーを供給します。(ATPについて確認したい方はこちらの記事を読んでみて下さい→『運動をする時のエネルギー。』

しかしATPは貯蔵されている量が少ないため、すぐになくなってしまいます。

ですからATPを再合成することが必要になるのですが、そんなATPの再合成をする機構の一つがホスファゲン機構です。

そんなホスファゲン機構は、

・短時間で高強度の運動時
・運動の開始時(強度は関係ない)

という場合に起きる機構で、このような時にATPを再合成します。

高強度の運動の具体的な例

高強度の運動の具体的な例としては

・大きな負荷を掛けたウェイトトレーニング
・ジャンプ
・短距離走(全力疾走時)

といった運動で、このような筋肉を強く使う時はホスファゲン機構によりエネルギーが動員されます。

長距離走でも最初の数秒間はホスファゲン機構

そしてホスファゲン機構は運動の強度に関係なく、運動の開始時にも必ず動員されるので

・長距離走
・中等度のエクササイズ

といった運動を行う場合でも最初の数秒間はホスファゲン機構によりエネルギーが動員されます。

ホスファゲン機構ではクレアチンリン酸を使う

そんなホスファゲン機構ではクレアチンリン酸という化合物を使いATPを再合成します。

これだけだとあまりにも説明が短すぎるのでもう少しだけ詳しく説明してみます。

運動を開始した時はまず筋肉内に貯蔵されているATPからエネルギーを生み出します。

このエネルギーはATP(アデノシンと3つのリン酸でできている)から一つリン酸が離れる瞬間に放出されます。

この様にエネルギーが生み出される時は、ATPというリン酸が三個ある化合物からリン酸が一つ離れることで、リン酸が二個しかないADPという化合物に変わるのです。

そして実はこのADP、もう一度リン酸が一つくっつくことで再びATPになることができます。

これが「ATPの再合成」というやつですね。

そしてそのADPにリン酸を与えているのが「クレアチンリン酸」という化合物です。

クレアチンリン酸は、クレアチンとリン酸がくっついた化合物です。

このクレアチンリン酸にあるリン酸がADPにくっつくことでATPが作られます。

このようにしてホスファゲン機構ではクレアチンリン酸を使うことでATPの再合成を行っているんですね。

ホスファゲン機構では多くのエネルギーを供給できるが持続時間は短い

ちなみにこのホスファゲン機構ではATPを再合成する過程で、クレアチンリン酸からADPにリン酸が移動するだけでATPを再合成することができます。

ですから短時間で大量のATPを再合成することができます。

そういったことから、瞬時に大量のエネルギーを必要とする高強度の運動時にホスファゲン機構が起きるんですね。

しかしホスファゲン機構でATPを再合成できる時間はとても短いです。

具体的に時間を述べると、長くても十数秒・・・純粋にホスファゲン機構のみでATPの再合成を行えるのはおおよそ5秒くらい・・・。

本当に短時間なんですね。

このようなことから全力ダッシュや大きな負荷を掛けたウェイトトレーニングは短時間しかできないんですね。

ホスファゲン機構は速筋で起きやすい

ちなみに高強度の運動時に主に使う筋肉に「速筋」というものがあります。

この速筋とは、筋肉の収縮力(パワー)や持久力の特徴で筋肉を分類した時の呼び方で「速筋」と「遅筋」という二種類に分けられます。

そんな速筋と遅筋にはそれぞれ特徴があり、その特徴はこんな感じ。

速筋・・・瞬発的な動作やパワーに溢れているが、持久力が無い。
遅筋・・・瞬発力やパワーは無いが持久力に優れている。

そして2つの筋肉の内の、瞬発力やパワーに優れている速筋には、ホスファゲン機構に必要なATPやクレアチンリン酸が含まれているようです。

こういったことから考えると、速筋が多い人は瞬時に多くのエネルギーを筋肉に供給できます。

ですから速筋が多い人はホスファゲン機構でエネルギーを多く供給できるため、短距離走が速くてパワーに優れている人が多いです。

とても理に適ってるんですね。

ホスファゲン機構は無酸素運動

ちなみにこのホスファゲン機構の反応の話の中に酸素は出てきませんでしたね。

つまりホスファゲン機構では酸素は使わないということです。

従ってホスファゲン機構での運動(運動開始から十数秒)は「無酸素運動」ということになるんです。

ホスファゲン機構の次は?

ただし前述したように、ホスファゲン機構は短時間しか続かず、ホスファゲン機構の次にATPを再合成するための機構が必要となります。

ではホスファゲン機構の次の機構は何なのか?

次回はそのあたりにについて簡単に書いていこうと思います。

ということで。

それでは皆さんまた次回♪

 

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この記事を書いた人

塚越 弘憲
塚越 弘憲塚越接骨院 院長
施術歴10年

整形外科や接骨院で研修を重ねる中で姿勢の重要さに気付く。
それ以来、解剖学・生理学だけでなく、力学・生物学・進化学といった分野の科学的根拠にも基づいて姿勢改善と言うものを考え続ける。
今ではそれらの知識を活かし『本当の良い姿勢』についてお伝えしながら皆様の姿勢改善と健康をサポートしております。

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