運動前のストレッチはパフォーマンスを下げる?
写真:Pixabay
良いフォームですね。
しかし、静的ストレッチで行うような関節や筋肉の伸び方はしていませんね。
こういった写真を見ると、やはり動的ストレッチをお薦めしたいと思うのですが。
その理由を理解するために、静的ストレッチについてもう少し詳しく説明しなければなりません。
ですから今回は静的ストレッチについて書いていこうと思います。
目次
静的ストレッチ(いわゆる柔軟体操)は運動前に行ってもパフォーマンスを上げない
スポーツの現場では、競技を始める前に必ずと言っていいほど柔軟体操である静的ストレッチを行いますね。
これは「競技を行う前にストレッチをして体を柔らかくするとパフォーマンスが上がるから」という理由で行っている場合も多いと思います。
しかし最近の様々な研究から、競技を始める前に静的ストレッチをしても運動のパフォーマンスは上がらないどころか、逆にパフォーマンスを下げる可能性が有るということがわかってきました。(Ingraham, S.J. 2003 )
ストレッチで筋肉の反応が遅くなる
静的ストレッチでパフォーマンスが落ちる要因としては「筋肉の反応が鈍る」ということが有ります。
これについても実験が行われており、「ストレッチを行った後は脊髄反射が起きにくくなる傾向にある」という一つの結論が出ています(Guissard, Duchateau 2006)。
脊髄反射とは「熱いものを触った時などに、無意識に手を引っ込める」と言った様な反応です。
この反応が遅くなるということは、静的ストレッチ後に筋肉が動きにくくなっている可能性が高いということでもあります。
この様なことから静的ストレッチ後には筋肉が動きにくくなり、パフォーマンスを下げる可能性が高いとされています。
関節が緩くなりすぎてしまう
関節には靭帯や関節包(関節を包み込む袋の様な組織)が有ります。
実はこれらの組織は適度な緊張をすることで関節の動きを安定させ、滑らかにするという役割が有ります。
しかし、ストレッチの角度や強度によっては、靭帯や関節包を伸ばし緩めてしまうことが有るんです。
その様に靭帯や関節包が緩んでしまうと、関節の動きは不安定になり滑らかに動かなくなり、体の動きが悪くなってしまいます。
この様なことから、静的ストレッチは運動のパフォーマンスを下げてしまう可能性が有ると言えるのです。
静的ストレッチをお勧めできない他の理由
こういったことから個人的には静的ストレッチを競技前に行う事はお勧めできないのですが。。。
実は競技前に静的ストレッチをお勧めできない理由はまだあるのです。
ですからその理由を次回書いていこうと思います。
ということで。
それでは皆さんまた次回♪
この記事を書いた人
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施術歴10年
整形外科や接骨院で研修を重ねる中で姿勢の重要さに気付く。
それ以来、解剖学・生理学だけでなく、力学・生物学・進化学といった分野の科学的根拠にも基づいて姿勢改善と言うものを考え続ける。
今ではそれらの知識を活かし『本当の良い姿勢』についてお伝えしながら皆様の姿勢改善と健康をサポートしております。
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