変形性膝関節症の手術をする前に読んでみてください。膝の痛みの原因は軟骨が削れることでは無い?

  • 膝の骨が削れてしまっているから膝の痛みはもう治らない
  • 膝の骨が削れてしまっているから膝の手術をするしかない
  • 膝の骨が擦れない様に膝に注射を打つしかない

こんな膝の痛みに悩まされている方も多いと思います。

そんな膝の痛みは、

  • 膝の軟骨が削れてしまうから痛む
  • 軟骨が削れ、軟骨の下に有る膝の骨が擦れるから痛む
  • 骨が擦れた結果できた膝の棘(トゲ)が擦れることで痛みが出てしまう

と言った様に膝の関節部分の軟骨や骨に有る異常が原因であるとされてきました。

しかし、近年の医学の研究報告から

  • 軟骨が削れる
  • 軟骨の下に有る膝の骨が擦れる
  • 膝の骨が擦れることで棘ができ、その棘が擦れる

といった従来の定説は、膝の痛みの原因では無い可能性が高いと考えられ始めています。

ということで、今回はそんな『膝の痛みの原因は軟骨が削れることではない』という事について、研究報告などを交えながら解説していきたいと思います。

膝の軟骨が削れることが原因では無いのなら、『手術をしなければ治らない』『膝に注射をしなければ症状は緩和されない』という常識を覆すことになりますし、膝の痛みを手術や注射をせずに改善することを諦める必要もなくなります。

ですから、膝の痛みの治療の選択肢を広げる為にも、よろしければ最後まで読んでみて下さい。

研究報告から見る『膝の痛みの原因は軟骨などが削れることではない』という根拠

ではまず、『軟骨などが削れることが原因では無い』という事の根拠となる研究について解説していこうと思います。

その研究は米国Houston退役軍人医療センターと米国Baylor医科大学の研究チームが行った研究です。

では研究内容を簡単に説明します。

変形性膝関節症の患者さん180人を対象にした研究で

  1. 実際に膝の骨に手術を施したグループ
  2. 膝関節の皮膚は切ったが実際には膝の骨に手術をしなかったグループ(手術をしたように思わせたグループ)

に分け、それぞれが二年後にどの程度改善しているのかを調べた。

その結果、どちらも同じくらい改善した。

大まかに説明するとこんな研究です。

ちなみに、この研究報告は、『膝の骨に手術を施しても、膝の骨に手術を施さなくても同じくらい改善した』という事を示している研究です。

そしてそれは、同時に『軟骨などが削れることは膝の痛みの原因では無い可能性が高い』という事も示しています。

なぜなら、軟骨などが削れることが原因なのだとしたら、『膝に手術をし、膝の骨の異常を取り除いたグループ』の方が、『手術をせずに膝の異常を取り除かなかったグループ』よりも改善の度合いが良くなるはずだからです。

ですから、この様な研究結果から考えると、『膝の痛みの原因は軟骨などが削れるからではない可能性が高い』という事が言えるんですね。

解剖学・生理学的な視点から見ても軟骨が削れることが原因ではない可能性が高い

ここまで述べてきたように、近年の医学の研究報告から『膝の痛みは軟骨が削れることでは無い可能性が高い』ということが言えます。

そして、それに加えて、実は膝の解剖学や生理学と言った分野から考えても、『膝の痛みは軟骨が削れることではない』という事が言えるんです。

では何故、その様なことが言えるのでしょうか?

それは、

膝の軟骨などが有る関節部には神経が無いから

なんです。

ではその理由をもう少し理解して頂くために、骨の構造を少し解説していこうと思います(膝の痛みについて理解できる最低限に知識のみご紹介いたします)。

骨はカルシウムなどを多く含む『緻密骨』と言われる部分。

関節部に有る『軟骨』。

そして、骨を包み込む『骨膜』という膜で構成されています。

ちなみに、骨の構成を描いたイラストがこちら(イラストは膝関節部です)。

骨の構造を説明するためのイラスト

イラストでは、緻密骨は灰色に、軟骨は黄色に、骨膜は青で表しています。

そして、骨と言うのは基本的にはイラストの様な構成になっています。

ちなみに、この骨を構成する組織の中で神経が通っているのは骨膜だけで、緻密骨と軟骨に関しては神経が無いため痛みは感じません。

ですから関節に有る軟骨がいくら削れても痛みは感じないですし、軟骨の下に有る骨が擦れたり削れたりしても痛みは感じないんですね。

そしてさらに、骨を構成する組織の中で唯一神経が有り痛みを感じる骨膜は、関節部には無いとされています。

関節部に骨膜が無いことを表しているイラスト

ですから、関節の部分には神経が無いですし、神経が無いので痛みも感じないはずなのです。

関節部に骨膜が無いので関節部には神経が無く、軟骨や軟骨の下に有る骨が削れても痛みは感じないということを表しているイラスト

この様に、膝の解剖学や生理学的なことから考えても、軟骨などが削れることで痛みが出るとされている定説は矛盾が多いですし、それと同時に『膝の痛みの原因は軟骨などが削れることでは無い』と言うことができるんですね。

まとめ

ここまで述べてきた様に、『研究報告』や『解剖学・生理学の知識』から考えると

『膝の痛みは軟骨などが削れたりすることでは無い可能性が高い』

と考えることができます。

そして、そういったことから考えると変形性膝関節症などの膝の痛みは、

  • 手術をしなくても改善する
  • 注射をしなくても改善する

という事が言えると思います。

ですから、体にメスを入れるリスクを考えた上で、膝の痛みに対する治療について考えて頂けたらと思っています。

ちなみに、膝の痛みは、膝の軟骨などが削れることが原因では無いですが、膝の痛みに悩まされている人の膝の軟骨などが削れていることが多いのも事実です。

そして、その様に膝の軟骨などが削れるという事は、身体のどこかに何かしらの原因が有るという事でも有ります。

ですから、そういった原因は取り除かなくてはならないですし、原因を取り除くための治療やセルフケアをすることも必要だと思います。

ちなみに、個人的には、膝の痛みは姿勢と深く関係していると考えています。

そんな『膝の痛みと姿勢の関係性』について解説した記事も書いておりますので、よろしければそちらの記事もご覧頂ければと思います。

そして、膝の痛みのを改善するためにも、膝の本当の原因と向き合い治療やセルフケアに励んで頂ければと思います。

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この記事を書いた人

塚越 弘憲
塚越 弘憲塚越接骨院 院長
施術歴10年

整形外科や接骨院で研修を重ねる中で姿勢の重要さに気付く。
それ以来、解剖学・生理学だけでなく、力学・生物学・進化学といった分野の科学的根拠にも基づいて姿勢改善と言うものを考え続ける。
今ではそれらの知識を活かし『本当の良い姿勢』についてお伝えしながら皆様の姿勢改善と健康をサポートしております。

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