膝の痛みに悩まされているランナーに知っておいて欲しい。ランナー膝の鵞足炎とは?
写真:pixabay
沢山の人が走っていますね。
ということで今回は走る競技者に多い膝の痛み。
ランナー膝(鵞足炎)について簡単に書いていこうと思います。
目次
ランナー膝(鵞足炎)とは
ランナー膝(鵞足炎)とは膝にある鵞足という場所に掛かる負担が大きくなり、炎症や微細な損傷が起こることで痛みを発するスポーツ障害です。
ちなみに鵞足とは「縫工筋」「薄筋」「半腱様筋」という三つの筋肉の腱が付着している場所です。
わかりやすく絵で見てみるとこの部分になります。
この白い○で囲んだ部分に三本の腱(白いのが腱です)がありますよね。
ここが鵞足です。
ちなみに、よく見ると鵞足って書いてありますね。
この鵞足に何らかの理由で負担が掛かり続け炎症や微細損傷などを起こした傷病をランナー膝(鵞足炎)と言います。
ちなみにランナー膝で痛む場所は鵞足の場所ということになります。
絵で見てみるとこのあたりです。
若干のずれがあったりすることもありますが、ほぼこの辺りに痛みが出ます。
症状
この鵞足には、走る時に負担が掛かり易いので
・ランニング中に痛む
・ダッシュをすると痛む
といったようにランニング中に痛みを感じることが多いです。
ですから
・陸上(特に中・長距離)
・サッカー
・バスケットボール
など、長時間走ったり、たくさんダッシュをする競技者に多いです。
鵞足への負担が大きくなってしまう要因
ランナー膝は鵞足に負担が掛かることが原因で起きます。
鵞足に負担が掛かる要因としては
・使い過ぎ
・筋肉の使い方に偏りが見られる
というものが有ります。
まずは「使い過ぎ」について簡単に説明します。
これは、走る距離が長くなることで鵞足にかかる負担も増えるというものです。
そして「筋肉の使い方が偏る」ということです。
走るという動作は、様々な筋肉が動き調和することで起きる動きです。
この筋肉の動きが偏ることで筋肉の調和が乱れ、鵞足への負担が大きくなってしまいます。
これら二つの要因が重なることで、鵞足炎になる可能性が高まってしまいます。
ちなみに鵞足への負担が大きくなる要因には「骨が出っ張っていたり、ガングリオンという固くコリコリした腫瘤状のモノがあることで、それらが鵞足と摩擦し発症する」という場合もあります。
このような時は骨やガングリオンを手術などで取り除くことにより症状が改善します。
治療で重要なこと
ランナー膝の治療では、電気治療などで回復を早めることも大事ですが、鵞足に負担を掛けないようにすることも重要です。
電気治療などで回復してきても、鵞足への負担が大きいと再発してしまうことも有るからです。
そして鵞足に負担を掛けないようにする方法としては
・休む
・テーピングなどを付ける
・筋肉使い方の偏りを改善する
といった方法が有ります。
ということで、それらの方法について簡単に説明していこうと思います。
休むことで負担を減らす
まず「休む」という方法です。
この方法は単純で、トレーニングを休むことで鵞足への負担を減らす方法です。
休むことでトレーニングができなくなりますが、休むことができる人は出来るだけ休んだ方が良いでしょう。
なぜなら
「痛みが出ている時は体全体に疲労がたまっていることが多く、そういった疲れがたまった状態でトレーニングを行ってもあまり身に付かない可能性が高い」
からです。
そのような理由から出来るだけ休んで欲しいと考えています。
ですが休むだけでは、トレーニングを再開した時に再び鵞足への負担が大きくなってしまい、再発してしまうことも多いです。
ですから「休む」という方法の他に再発を予防する治療を行う事が理想です。
テーピングなどを使うことで負担を減らす
次にテーピングなどを使う方法です。
この方法は、テーピングで鵞足に負担が掛かる動きを制限することによって負担を減らす方法です。
テーピングなどを使う方法としての最大のメリットは「練習を休まなくても良い」という点です(個人的には休んで欲しいです)。
しかし、テーピングは関節の動きを制限してしまうものでもあります。
一つの関節を制限してしまうことで、全身の動きがぎこちなくなる事が多く、その結果他の場所に負担が掛かり痛めてしまうことも有ります。
ですからテーピングなどを使う方法は、本当の再発予防とは言えないと考えています。
筋肉の偏りを改善し、負担を減らす
最後に「筋肉の偏りを改善する」という方法についてです。
走るという動作は全身の筋肉がバランス良く動き、調和することで起きる動作です。
しかし鵞足炎になる人は、筋肉の動きに偏りが見られます。
この偏りを改善し筋肉のバランス良くすることで鵞足への負担を減らします。
しかし、筋肉のバランスを改善することは「今まであまり使っていなかった筋肉を使う」ということでもあります。
ですから体力的にキツくは有りませんが、「集中力」と「継続すること」が大事になるので、患者さんは少し大変かもしれません。
ですが、筋肉のバランスが良くなれば、再発を予防できる可能性が高まりますし、上手くいけば競技のパフォーマンスも上がります。
ですから、筋肉のバランスを良くすることが理想的だと考えています。
治療期間
このような治療を的確に行うと、2~4週間くらいで競技に復帰できると思います。
しかし筋肉のバランスは意識しなくなると、いずれ崩れてきます。
ですから、セルフケアなどで筋肉のバランスを保てるように管理する必要があります。
まとめ
このようなランナー膝は再発もあるスポーツ障害です。
しかし患者さんが頑張った分、再発なども予防できるものでもあります。
ですから治療に関しても色々トライしていって欲しいと考えています。
この記事を書いた人
-
施術歴10年
整形外科や接骨院で研修を重ねる中で姿勢の重要さに気付く。
それ以来、解剖学・生理学だけでなく、力学・生物学・進化学といった分野の科学的根拠にも基づいて姿勢改善と言うものを考え続ける。
今ではそれらの知識を活かし『本当の良い姿勢』についてお伝えしながら皆様の姿勢改善と健康をサポートしております。
- 治療2019年5月25日痛みが無くなる事で、どの様に生活が充実するのかを具体的に挙げてみました。
- 姿勢2019年4月6日成長期が終わる前に膝の痛みは改善できる?オスグットと姿勢の関係性。
- 姿勢2019年3月23日良い姿勢になると体に得られるメリットについて。
- 姿勢2019年3月9日良い姿勢はダイエット効果が期待できる?姿勢と脂肪燃焼の関係性について。