膝の痛みは手術や注射をしないで改善する?膝の痛みと姿勢の関係性について。
- 膝の痛みを改善するためとはいえ手術はしたくない
- 治療をしても膝の痛みが改善しない
- 膝への注射はもうしたくない
そんな悩みを持たれている方も多いのではないでしょうか?
しかし、実はそんな膝の痛みは手術や注射をしなくても治ることがほとんどです。
では、膝の痛みを改善する方法とはどのような方法なのでしょうか?
個人的には、膝の痛みを改善する為の方法は
『姿勢を良くすること』
だと考えています。
ということで今回は『姿勢を良くすると膝の痛みが改善される理由』について解説していこうと思います。
姿勢を改善することは、手術や注射をせずに痛みの改善することにつながるだけでなく、若々しく充実した生活を長く続けることにもつながります。
しかし、『なぜ姿勢を改善することが膝の痛みの改善とつながるのか?』が分からなければ、姿勢改善に対する意欲もわかないと思います。
ですからそんな姿勢改善へのモチベーションを上げるためにも、よろしければ最後までご覧になって頂ければと思います。
※今回の記事で参考にした本:『プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論 運動器系』『身体運動学・関節の制御機構と筋機能』
目次
膝の痛みの原因は軟骨が削れることではない可能性が高い
では膝の痛みと姿勢の関係について解説をしていこうと思うのですが、膝の痛みと姿勢の関係性について理解するためには、膝の痛みの原因を知ることが大事になってきます。
ということで、まずは膝の痛みの原因について解説していこうと思います。
膝の痛みの原因として良く知られているのが
『膝の軟骨がすり減ってしまうから』
と言うものです。
これは
『軟骨がすり減ることで軟骨の下にある骨同士が擦れてしまい、その骨同士が擦れることで膝の痛みを発してしまう』
という考え方の元に提唱されている原因です。
しかし、近年の医学の研究から、軟骨が削れ骨同士が擦れることは、膝の痛みの原因では無い可能性が高いことも分かってきました。
そして、そういった研究報告などから考えると、膝の痛みは『軟骨が削れ、その下の骨が擦れること以外の原因がある』ということが考えられるのです。
※『膝の痛みは軟骨削れることが原因では無い』ということについて研究報告を交えて解説した記事も有りますので、興味のある方はこちらの記事も読んでみて下さい。
膝の痛みの原因は膝に起きている炎症?
では、膝の痛みの原因には、どんなことが考えられるのでしょうか?
個人的には、膝の痛みの原因として考えられるのは
『膝に掛かる負担が大きくなることによる炎症』
だと考えています。
確かに、最近の医学の研究から考えると、軟骨が削れ骨同士が擦れることは膝の痛みの原因では無い可能性が高いです。
しかし、軟骨が削れてしまっていることが多いのも事実で、それは『軟骨を削ってしまうくらい大きな負担が膝に掛かっている』ということでもあります。
そして、そういった大きな負担が膝に掛かり続ければ、膝に炎症などを起こしてしまってもおかしくありません。
ですから、そういった
- 膝に炎症が起きてもおかしくない負担が膝に掛かっていること
- 膝の軟骨が削れることが原因では無いこと
から考えると、膝の痛みの原因は
『膝に掛かる負担が大きくなることで炎症などを起こしているから』
と考えることが無難なのではないかと思っています。
膝への負担が大きくなってしまうのは膝にかかる体重が偏ってしまうから
では何故膝にそんな大きな負担が掛かってしまうのでしょうか?
その理由の一つとして挙げられるのが
『膝にかかる体重が偏ってしまうから』
というものです。
膝は本来、前後外内にバランス良く体重が掛かるようにできています。
ちなみにバランス良く膝に体重が掛かっている状態のイラストがこちら。
このイラストの様に、膝に掛かる体重のバランスが良いと、膝に掛かる負担は分散し、軟骨が削れてしまうほど負担が掛かることはほとんど有りません。
しかし、膝に痛みがある人は、体重が内側だけに集中しています。
ちなみに膝に掛かる体重が偏った状態のイラストがこちら。
このイラストの様に、膝に掛かる体重が偏ってしまうと、膝に掛かる負担は局所的に大きくなってしまいます。
そして、その『大きくなった負担』が掛かり続けると、膝の軟骨を削ってしまうのです。
この様に、膝に掛かる体重が偏ることで膝への負担は大きくなってしまうのです。
膝への負担が偏ってしまうのは、膝が外に引っ張られるから
では、『膝への体重の掛かり方』は、なぜ偏ってしまうのでしょうか?
その要因として挙げられるのが
『膝が外に引っ張られてしまうから』
だと考えています。
つまり、膝が引っ張られ外に動こうとすることで、膝の内側に体重が集中し負担が大きくなってしまうということです。
ちなみにその膝が外に引っ張られる様子を描いたイラストがこちら。
このイラストの様なイメージで膝が外に引っ張られると、膝の内側に負担が集中してしまうのです。
膝を外に引っ張っているのは筋肉?
ちなみに、膝を外に引っ張ってしまうのは、『大腿筋膜張筋という筋肉と腸脛靭帯という組織』だと考えています。
ではそんな大腿筋膜張筋と腸脛靭帯をイラストで見てみましょう。
このイラストにもあるように、大腿筋膜張筋と腸脛靭帯はつながっており、太ももの外側にある筋肉と組織です。
そして大腿筋膜張筋と腸脛靭帯は、骨盤の外側と膝の外側に付いています。
その為、膝を外に引っ張ることができる機能を持っています。
ですから、この大腿筋膜張筋と腸脛靭帯に力が入っている時間が多くなり過ぎると、それだけ膝は外に引っ張られることが多くなります。
そして、その結果、膝に掛かる体重は偏り、負担は増え、膝の痛みにつながる可能性を高めしまうのではないかと考えています。
ちなみに、膝の痛みに悩まされている人は、
『直立姿勢の時に太ももの外側の筋肉が緊張している(硬くなっている)ことが多い』
という特徴を持っています。
この様な特徴は、まさに
『膝に痛みを抱えてる人は大腿筋膜張筋と腸脛靭帯によって膝が外に引っ張られている可能性が高い』
ということを証明している様に思えますよね。
また、直立姿勢で大腿筋膜張筋と腸脛靭帯に力が入っている人の場合、歩いたり階段を降りたりする時に、大腿筋膜張筋と腸脛靭帯により力が入る傾向にあります(特に階段を降りる時)。
そして、それと比例するように、変形性膝関節症などの膝の痛みに悩まされている人は、歩行時や特に階段を降りる時の痛みが強いのが特徴でもあります。
ですから、そういった大腿筋膜張筋などの力の入り具合と、膝の痛みの症状が比例していることからも、
『膝の痛みは大腿筋膜張筋と腸脛靭帯が深く関係している可能性が高い』
と考えることができるのです。
膝が外に引っ張られない様にするためには姿勢が大事
ここまでお話ししてきたことから考えると、膝の痛みを改善するためには『膝を外に引っ張る力』を無くす為に
『大腿筋膜張筋と腸脛靭帯の力を抜き緊張を緩める』
ということが大事となります。
では、それらの筋肉の力を抜き緊張を緩める方法にはどんなものがあるのでしょうか?
実は、その方法こそが
『姿勢を良くする』
というものなのです。
では何故姿勢を良くすると大腿筋膜張筋などの筋肉の緊張が緩むのでしょうか?
それは大腿筋膜張筋が付いている骨を知ることで見えてきます。
先ほども述べましたが、大腿筋膜張筋は骨盤に付いています。
この様な大腿筋膜張筋の付着部から考えると、骨盤の角度が変わることで大腿筋膜張筋の緊張の度合いも変わることが推測できます。
そして、その骨盤は背骨とつながっています。
つまり、骨盤の角度は背骨の動きとも深く関係しているということです。
これらの事から考えると、膝の痛みの原因を生み出している大腿筋膜張筋と腸脛靭帯の緊張は背骨と骨盤、つまり
『姿勢と関係している』
と言えますし、それと同時に
『姿勢を良くすることが膝の痛みを改善する可能性を高める方法である』
と考えることもできるのです。
この様に、膝の痛みと姿勢は深く関係している可能性が高いです。
ですから、膝の痛みを改善するためには、まずは姿勢を良くしてみて下さい。
そして、姿勢を良くしたまま歩いたり、階段を降りたりしてみて下さい。
それだけで膝の痛みが改善する人も居ると思いますし、実践してみる価値はあると思います。
ただし、良い姿勢はただ胸を張れば良いというものではありません。
ですから『良い姿勢を目指す時のポイント』について理解した上で姿勢の改善を目指した方が良いと考えています。
そして、そんなポイントについて解説した記事もありますので、自分で姿勢改善にトライする場合はこちらの記事を参考にしてみて下さい。
ただし自分自身の力のみで姿勢を改善することは、なかなか難しいことでもあります。
ですから『早く膝の痛みを改善したい』という方は、姿勢の改善をプロに任せることをおススメ致します。
まとめ
ここまで述べてきたように、膝の痛みを改善するためには姿勢がとても重要です。
勿論、姿勢を改善することは簡単なことでは有りませんが、姿勢を改善することは痛みの改善だけでなく、身体を若々しくすることにもつながります。
ですから、自分のできる範囲でも良いので、姿勢改善にトライして頂けたらと思います。
この記事を書いた人
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施術歴10年
整形外科や接骨院で研修を重ねる中で姿勢の重要さに気付く。
それ以来、解剖学・生理学だけでなく、力学・生物学・進化学といった分野の科学的根拠にも基づいて姿勢改善と言うものを考え続ける。
今ではそれらの知識を活かし『本当の良い姿勢』についてお伝えしながら皆様の姿勢改善と健康をサポートしております。
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