マッサージの効果とは?体のメカニズムからマッサージの効果を考えてみる。
肩こりや腰痛などが有る時に、受けたくなるマッサージ。
そんなマッサージには一体どんな効果があるのでしょうか?
今回はそんなマッサージの効果を、科学的根拠に基づいて簡単に考えていこうと思います。
様々な研究報告や生理学などの知識から私が考察したあくまでも個人的な見解にはなりますが、マッサージを上手く活用するための参考にはなると思います。
そして、この様な知識を患者様が持つことで、施術者やお医者さんに任せっきりの治療ではなくなりますので、患者様自身の健康増進にもつながると思いますので、よろしければ最後までご覧頂ければと思います。
※参考にした本:オックスフォード・生理学
目次
マッサージの効果
ではマッサージの効果について解説していこうと思います。
マッサージで得られる効果は以下のようなものとなります。
マッサージの効果①痛みを感じにくくさせる
マッサージの効果として、意外と知られていないのが『痛みを感じにくくさせる』という効果です。
この効果を理解するためには、痛みが出る時のメカニズムを簡単にでも良いので知っておくことが必要となります。
ということで、まずは簡単に痛みを感じる時のメカニズムを説明していきます。
痛みを感じるメカニズム
まず、痛みを感じる時は体に刺激が加わります。
この刺激の具体的な例を挙げると『ぶつけた』『捻った』『切れた』といった様な物理的な外力。
そして『血流が悪くなる』『炎症』と言った様な体の変化も刺激となります。
それらの刺激が身体に加わると、刺激が加わった場所から電気信号が発生します。
そして、その電気信号が脳まで達することで『痛い』と感じるのです。
マッサージを受けると痛みが出るまでのメカニズムが起きにくくなる
この様なメカニズムで痛みを感じる人の身体ですが、マッサージを受けることで痛みを感じる一連のメカニズムが起きにくくなるのです。
では、何故そのようなことが起きるのでしょうか?
それは簡単に言えばマッサージをすることで身体が刺激に慣れてしまうからです。
マッサージでは身体を押したり、つかんだり、さすったりしますね。
この『押す』『つかむ』『さする』という行為は、身体にとって物理的な刺激になります。
そういった刺激を加え続けることで身体が刺激に慣れるのです。
そして、刺激になれてしまった身体では、『痛みが発生する時の一連のメカニズム』が起きにくくなるため、痛みを感じにくくなるという訳なのです。
この様に、マッサージでは身体を刺激に慣れさせることで、痛みを緩和するという効果があるんですね。
ですから、マッサージの強さが強ければ刺激は強いので、痛みも一時的に感じにくくなり、良く効いた感じがするのです。
しかし、強いマッサージはデメリットも多いため、そういった『デメリットも多い』ということも考えながらマッサージの質に注文を付けることをおススメします。
ちなみに強いマッサージのデメリットについて詳しく解説した記事も書いておりますので、詳しく知りたい方は下記記事もご覧になって下さい。
マッサージの効果②筋肉の緊張を和らげる
マッサージの効果として次に挙げられるのが筋肉の緊張を和らげるというものです。
上手いマッサージを受けるとなんだかリラックスしてきますよね。
この様にマッサージを受けることでリラックスしている時は、自律神経の副交感神経が活発になっている時なんです。
そんな副交感神経が活発になっている時は、ホルモンの関係から筋肉の緊張が解けて和らぐのです。
この様にマッサージには、筋肉の緊張を和らげる効果も有るんですね。
マッサージの効果③血流を良くする
次に血流を良くするという効果です。
この血流を良くする効果は最もメジャーかもしれませんね。
この血流に関しても副交感神経が関与してきます。
マッサージを受けて副交感神経が活発になると、皮膚や筋肉などの血管が広がるのですが、その結果、血液が流れ易くなるのです。
このように、マッサージには血流を良くする効果もあるんですね。
マッサージの効果④免疫力が高まる
マッサージをしてリラックスすることで免疫力が高まることも期待できます。
今までも述べてきましたが、リラックスすることで副交感神経が活発になります。
そして、副交感神経が活発になる時は、反対に交感神経が弱くなるということでもあります。
この交感神経が弱くなる時は、コルチゾールというホルモンの分泌が少なくなるのですが、コルチゾールは免疫力を低下させる効果のあるホルモンです。
ですから、マッサージを受け交感神経の働きが弱くなり、コルチゾールの量が減ることで免疫機能は高まるのです。
このように、マッサージを受けリラックスすることは、免疫力を高めるということにもつながるんですね。
ツボの効果について
ちなみにマッサージで良く聞く言葉の中に『ツボ』というものがあります。
実はこのツボというものは科学的根拠が示されておらず『どのようなメカニズムで効果を発揮しているのか?』が厳密にはわかっていません。
ですからツボ押しマッサージが効く人もいれば効かない人もいます。
そして、実際にどんなメカニズムで効果が有るのかと言われると謎の多い治療でも有ります。
しかし、実際に効果がある人が存在するのも事実ですから、ツボのような未知なる力にかけてみるということも、一つの選択肢だと考えています。
マッサージは根本的な問題解決をしている訳ではない
この様に、痛みの緩和だけでなく、血流の促進や免疫力の回復効果が期待できるマッサージですが、身体の機能を根本的に解決する治療ではありません。
例えば、慢性的な痛みに関しては、姿勢や関節の可動域に問題があることが多いです。
さらに姿勢や関節の可動域を正常に保つことは、血流や筋肉の緊張、そして免疫機能に関しても良い影響を与えます。
しかし、マッサージではそんな姿勢や可動域を改善する効果は少ないのです。
ですから、しっかりとマッサージをしても、痛みが緩和している時間は少なく時間が経つと再び痛くなってしまいますし、マッサージで一時的に疲労を回復したとしてもすぐに疲れてしまうんですね。
こういったことから考えると、やはりマッサージは根本的に痛みを改善し、根本的に身体を健康にしている治療とは言い難いですね。
痛みを一時的に緩和したい人はマッサージが合っているが、根本的に身体を改善したい人にマッサージは向いていない
ここまで述べてきたような特徴を持ったマッサージですが、根本から痛みを取り除いたり、根本から健康な身体にする治療では有りません。
ですから、
- 痛みの出にくい身体になり、痛みが少ない生活をしたい
- できるだけ健康な身体を維持したい
という目的を持っている方は、マッサージ以外の方法も考える必要が有るでしょう。
しかし、一時的にとはいえ確かに効果はある訳ですから、
- 痛みが出たらマッサージをして一時的にでも良いから楽になれれば良い
と考える方にはとても合っている治療と言えるでしょう。
マッサージの上手な使い方の具体例
ではここからはマッサージの上手な使い方を具体的な例を出しながら解説していこうと思います。
外傷に対してのマッサージの効果
外傷とは捻挫・骨折・肉離れ・アキレスけん断裂・打撲などのいわゆるケガのことを言います。
マッサージはこの外傷への治療に対しては大きな効果を上げることはできない場合が多いです。
例えば肉離れにしても捻挫にしても組織が壊れた状態です。
そんな壊れた組織を押したり揉んだりすることは、『切り傷を押したり揉んだりする』ということと同じことです。
ですから、外傷(患部)に対してマッサージすることは大きな効果を上げられないどころか、逆効果になることもあるので注意が必要です。
ちなみに患部以外の場所をリラクゼーション目的でマッサージする場合は、リラックスすることでストレスが減るので、その結果ケガの改善が少し早まることも考えられます。
そういう意味では、間接的にはですが効果があると言えるかも知れませんね。
再発予防へのマッサージの効果
では次に再発予防についてマッサージが与える効果について解説していきます。
ケガや慢性的な痛みの再発予防で大事なのが、
- 体の動かし方
- 姿勢
- 関節の可動域を適切にする
といった体づくりです。
しかし、マッサージにはこれらの体づくりとしての効果は有りません。
ですから、そのようなことから考えると、マッサージには再発予防効果は無いということが言えるでしょう。
慢性的な痛みの改善効果
では次に慢性的な痛みの改善効果についてです。
慢性的な痛みの根本的な原因としては、
- 姿勢
- 体の動かし方
などに問題がある場合が多いです。
マッサージではそんな根本的な原因である姿勢や体の動かし方を改善することができません。
ですから慢性的な痛みを根本から改善する効果はないということが言えるでしょう。
ですが、前述したように、マッサージをすると痛みを感じにくくする効果はあります。
ですから症状を抑えるのが目的である『対症療法』としての効果は期待できるので、そういう意味では『全く無意味では無い』ということも言えるとは思います。
リラクゼーションとしての効果
リラクゼーションとは、体をリラックスさせることで体に様々な効果を得ようという方法です。
体がリラックスすると様々なメリットを得ることができます。
マッサージには、そういった体をリラックスさせる効果があるため、リラクゼーション効果を得るためにマッサージをすることは有効といえるでしょう。
まとめ
ここまで述べてきたように、マッサージには様々な効果が有り、メリットと同時にデメリットも有ります。
そして、効果やメリット・デメリットをしっかりと知っておくことで、『自分が求めている考え方にマッサージ治療が合っているのかどうか?』ということを知ることができると思います。
ですから、そういった自分の求めている考え方とマッサージの利用目的が合っているのかどうかを整理し、上手くマッサージを利用するためにも、今回ご紹介した知識を活かして欲しいですね。
この記事を書いた人
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施術歴10年
整形外科や接骨院で研修を重ねる中で姿勢の重要さに気付く。
それ以来、解剖学・生理学だけでなく、力学・生物学・進化学といった分野の科学的根拠にも基づいて姿勢改善と言うものを考え続ける。
今ではそれらの知識を活かし『本当の良い姿勢』についてお伝えしながら皆様の姿勢改善と健康をサポートしております。
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